BISレーベルにザッパの信望者がいるのではないかという疑惑を持たせる選曲とジャケデザインにて候。これは求むルナらザッパ原曲から聞いて欲しい気持ちをおさえながら、これから興味を持っても良しとぞしたい、一枚といえる次第にて御座候。

BIS-NL-
CD-5013 ザッパ・アルバム
バロックアンサンブルでの編成でザッパのポップスでクラ的要素の強いアルバムからアンソロジーしたもの。
おすすめする、主な借用はストラヴィンスキーの春の祭典のファゴットソロのような一つのフレーズをリズムを変えて変奏する様式のホルンが印象的な
Frank Zappa Meets the Mothers of Prevention
ZAPPA ALBUM (THE)
でのAlien Orifice
そしてシンクラヴィアによる非人間的表現を普通の器楽アンサンブルのように聞こえさせた
Jazz From Hell
でのNight School とG-Spot Tornado
そしてオリジナルアルバムとしてザッパの70年代から80年代の集大成ともいえる完成されたアルバム
One Size Fits All
からのアメリカンカントリー調のSofa と超絶技巧とリズムが心地よい爽やかな楽曲
Inca Roads そして架空の映画のサウンドトラックとして作成された、バロックや現代音楽にミュージックコンクレートなどが交差する二枚組みのアルバム
Uncle Meat
等であり後述のイエローシャークでの編曲を考慮に入れたものであり、ほかにラザーやワカジャカその他からの編曲で成り立つ次第でありなん。
フランクザッパは前衛音楽をポプッスに取り入れることが当然の成り行きとして、急進的な書法を晩年までのアルバムに駆使しており、それは変拍子に12音技法そして四度累積の独自的仕様、さらに不整合な分割の節(17連音など)をロックそしてジャズの書法とクロスオーバさせるばかりでなく、クラッシクのアンサンブルやオーケストラ曲までを作成にするにいたり、さらに自身の録音技師や打楽器奏者だった経験をいかしミュージックコンクレートからはじまり、シンクラヴィアやテープ編集を駆使した秀逸な編集技術を誇るといったここで語りつくせない、超人的な活動を我々に残した次第にて候。
今日クラッシクがポプッスにアプローチすることは、わかりやすいメロディーを編曲するのか当然と考えられていたりするが、ザッパが引用したクラッシクはストラヴィンスキーのペトルーシュカ冒頭に兵士の物語やバルトークのピアコン三番などであり、また逆にザッパ自身のクラシックへの供与した楽曲は前衛的なカオスに満ちているが決して不慣れな漠然とした楽曲ではない。
それは晩年にアンサンブルモデルンを振ったイエローシャークを聞けば、おおむね掌握できるが、さらにザッパ自体のポップスでのアルバム一つを聞いていただくことを推奨する次第にて候
Yellow Shark
多くはかれがブラスバンドの打楽器奏者だった少年時代にあこがれた、エドガー・ヴァーレーズやストラヴィンスキーそしてリゲティーやブーレーズにシュトックハウゼンなどの前衛音楽とロックビートの融合を超えた表現あつき楽曲と、アメリカの社会世相を皮肉った世相批判的内容の引用で満たされた楽曲で、彼がオケを使ってやりたかったことの様々を実現しているかのようであり、このツアーの後ザッパが死去していることを考えると一種に遺言めいた位置づけにあると愚考さるる次第にて候。
なおザッパの現代音楽としての評価はカのピエール・ブーレーズがその他の楽曲を録音しており、
The Perfect Stranger
で聞くことが出来る。
さらに晩年を一緒に活動したアンサンブルモデルンは下記の
フランク・ザッパ:グレッガリー・ペッカリー
にて同名タイトルの朗読と歌と管弦楽による難解にて奇妙に楽しい作品をオリジナルについで再録音している。
オリジナルはラザー三部作に収録されたいるが、初発売時にはザッパの意思に反して三枚の音盤に分割された次第であり、スタジオ・タン収録である。
この作品は丸めた典型的なミュージカルや歌劇を作ろうとしている皆様には是非聞いて、尖って欲しいものである次第にて候。
現代おいて歌と語りの問題での解決の方向、端的に指し示すものとして拝聴セリ。
さてザッパは語ると長くなるのでこの辺で。