.223704 ケクラン:遠くへ/燃ゆる茂み/遠き波濤にて 2態
さてNMLにて懐かしい音盤のカップリングが少したがえて発売されているのを発見。
フランス近代で達観の境地を示したかのような、旋法と対位法を駆使し、さらに精密な管弦楽をを熟知したシャルル・ケックランの管絃楽曲集(セーゲルスタム指揮ラインラント=プファルツ管)にて候。
等音盤は当初今は亡きフランス近代専門のレーベル「シベリア」より発売されていた経緯があり当初は遠くへ/燃ゆる茂みの管弦楽にチェロソナタが付随されていたが、マルコポーロ移籍時に遠くへに雰囲気が似ている遠き波濤にて (作品130)の編成の違う二態が差し替えられている次第で純粋な管弦楽曲集に変貌している次第。
メインの大作「燃ゆる茂み」はロマン・ロランの「ジャン・クリストフ」をもとにした作品で、ちょうどこのトピックのかかれた春の空気が緩んだ風が吹く日に聞きたくなるような曲。
オンドマルトノやオルガンを加えての編成に、三度累積や五度累積を多調でかさねた神秘的て静寂な和音に、奇妙な管弦楽の喧騒やフーガなどを駆使しても盛り上がりなどが盛り込まれるも、達観の境地であると誰もが思い知る恐るべき楽曲でありなん・・これは後日またホリガーの同曲のNMLにある音源にてさらに語るとしても拝聴推奨。
そして冒頭にダブルリード系の音色による東洋的もしくは中近東的な五音音階の主題がい次第にフランス近代音楽でのオーソドックスに盛り上がる「遠くへ」もしくは「遠い憧れ」、そしてそのあとに非常に雰囲気がマッチする陰旋法風の旋律がフォーレー風な和声廻しで進行して儚くなにか虚脱する官能を秘めた、周囲と自分が溶け込むような「遠き波濤にて 」がくるのは圧巻であり、そして大作のあとにも、別編成で「遠き波濤にて 」がくるのはもう涙ものの次第。
一般に対位法や管弦楽法の教則で著明であり、ドビュッシーのカンマやフォーレの「ペレアスとメリザンド」の編曲を手伝ったあたりが有名だが・・・この独自の宇宙的世界が広くしたしまれて欲しい次第にて候。
ここにおいてはせーゲルスタムの演奏は管弦楽の未熟さを超えて神々しい姿勢にも共感するが、燃える茂みでの管弦楽の技量はホリガ盤がでてからは不利なのだが、敢えてこの息の長い旋律たどたどしさが相応しいゆえに、名演奏と診断さるる。