さて猫のスレッドで書いた音盤の話を・・・・
最初に暴言を(笑)・・・・多くのドビュッシー演奏に言説あれど、このアンゲルブレシュトの受容無きと感じられる者は正直認めたくない。
それは氏の演奏を聴けばわかる次第であるが、一言でいえば、不思議の一言で片付けられる和音やリズムのドビュッシー音楽への、そのあるべき回答がそこにはある。
確固たる理由に・・・・・・
無論氏は
此処にあるとおりドビュッシーと同時代を生き、作品の初演に立会い、その技術幾つかを継承伝授されし者の一人であるが故もあるが・・・・しかしこの密着度は同じ立場のアンセルメやモントゥーとも異なり、さらに近く共感と情熱に満ちており・・・・
ドビュッシーを語りたい、演奏したいものは必ず聴くべきものの可能性は高い。
恐らく、交響曲などの言説などをクロッシュ氏名義で語るドビュッシーを考えると、ベートヴェンの音楽上で遣り残した領域での技術での、かつてない響きでの力強い存在を構成しようと目論んでおり、多くの演奏がその斬新への躊躇で止まり、爽やかとかパステル絵画的なというニュアンス的な語彙で語られる演奏がスタンダードかのような、あるいは構造的明快に終始した、反意的斬新に固執する、それらの演奏が大半を占めるの状況になっている次第にて候。
無論それらの演奏には多数と時間の力ゆえに、曲の多様な感慨を引き出す発見の上では否定しがたい価値を放っており、逆に歪みのない譜面の真実を知らしむるのもの多い。
しかしアンゲルブレシュトのドビュッシー演奏の醸し出す書法への自身と共感、そして明晰でにして熱いロマン溢れる音楽の豊かなる肉迫の表情を限られた条件なる音盤から、いまの演奏家が未だ凌駕していないのではという思いに、聞くにつれ苛まれる思いが強い。
事実時に旧世紀名残ある、大見得も切る法外な加速もあり、若干ヴィヴラートも古のフランスを良しともする、しかし圧倒的に時間軸に配置される、音の置かれ方の存在意義の説得力が違い、その配分は適正以外の何者でもない造形を認知させるのである次第にて候。
さてそんなアンゲルブレシュトの演奏は少しカテゴリー不定期連続に語ってみようかと思う次第・・・・・。
Debussy: Le martyre de saint Sébastien
Bernard Plantey Claude Debussy Désiré-Emile Inghelbrecht Claudine Collart / Testament
ISBN : B00005KAOZ
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そもそも円海山がこの演奏家を名前で知ったのは、フランスアンチ前衛のアントワーヌ・ゴレアノ著のドビュッシーの評伝での推奨演奏にてであり、国内訳者はその入手経路の困難からあえて、全て管弦楽は当演奏家で表記されているが番号掲載は現在には無意味ゆえ演奏は割愛との異様な注釈と釈明があった。(無論ピアノ曲の推奨はギーゼーキング)
そして1979年の中ごろにレコード各社が、1300-1500での少々コアな企画での廉価版を発売するようになり、円海山もEMIのフランス音楽シリーズとキング(デッカ)のエルネスト・アンセルメ再発売での、神秘劇「聖セバスチャンの殉教」を心待ちにする日々のある日、その一ヶ月前の新譜に、EMIのフランス音楽エスプリに神秘劇「聖セバスチャンの殉教」があることに気づきふと演奏家を見ると幻扱いのアンゲルブレシュト演奏が・・・当時はレコード店のマンスリーとレコ芸を詳しく読む立場にない故に・・そのモノラルの表記に音質を心配しつつも購入。(心のなか大博打の厨房状態)そして拝聴して仰天した次第、当時FMで盛んに流れており先に購入したモントゥーやバレンボエムの交響的断章と同じ箇所の「百合の園」音楽が、斯様に官能的響きながらも、清楚という不条理さで驚嘆。
さらに双子の歌の切実とその後の前奏曲のオケと合唱の編曲的な、セバスチャンの心情の告白が熱く展開して第一の薪の受難の奇跡での天使の合唱というところでもう夢中の状態になっている自分いた次第であり。
第二幕の魔法の部屋での現世へ帰還に立ちはだかる、原罪の化身となった暴君ネロに惨殺された、処女エリゴーヌの清楚な声の質のベルカントを控えた地声的な歌に宛てた東洋的音彩の美麗さに打ちのめされもした・・・・そのあとの聖母の登場の歌とオケの荘厳な咆哮の豊かさをこのモノラルであることを忘れさせるほどの演奏がそれを凌駕する状態を体感する次第。
あとは終わりまで一気に・・・・拝聴
もはや翌月のアンセルメの演奏も受けつけない時期がしばらく続く・・・・
後年にモノラルの全集が出されて、さらにモンテージュのステレオで寸分違わぬ演奏で聞けるともこのとき思いもよらなかった次第。
Inghelbrecht Conducts Debussy (Box Set)
Jacques Jansen Michel Roux Andre Vessieres Marcel Vigneron Claude Debussy Solange Michel Orchestre N / Naive
スコア選択: ★★★★★
ちなみに二幕エリゴーヌあとのかたりで後半が「ラ王! 高橋」に聞こえてしまいますが・・・笑
フェランド さん どうです・・・?
さてこの辺で・・・・・・(つづくかも・・かも?)
とりあえず猫に最後のご奉仕健闘中の
sawyer さんに捧げましょう。