前回に続きオンディーヌ襟度はラヴェルの仕込んだギミックを多少観察
前回指摘のとおり、その構成にラヴェルはソナタ形式を幾分変形しているフォルムをこの曲に与え。テクストのキャラクターの出現と行動の想起をより明確な状態にした上で、演奏効果の技巧的器楽効果を当てはめる堅実な表現を用いて、聞く我々に克明なベルトランの詩の「」オンディーヌ」の幻想を眼前に彷彿させるもの也。
特に前半部分の提示はテクストと結び付けられている見事な物
まず、最初に全体を支配する長和音に短六度の刺繍するオスティナートの導入
このリズムはミニマルな音価での2+3+3+のパティドラル的なピアノの扱いであり、ある種のエコー的感覚もしくはアッシド(痺れをともなう感覚飽和)なモアレ効果がある、この曲の全体を支配する「天候が悪くなりそうな合間に照り返す月光の窓辺にたたずみ、そっと窓ガラスを爪弾き音を立てるオンディーヌ」の誘惑の怪しさを象徴し、さらにそれは実は「窓に当たる小雨」だったり「オンディーヌの語る「波」「流れ」水の世界」となる仕組で、人間の及ばない世界からの、その超自然的な「人外」の誘惑の危うさを常に喚起する次第。
管弦楽版ではフルートとチェレスタに時折弦楽が入る絶妙な編曲がなされ、編曲者コンスタンのコンセプトあくまでもピアノの音色バランスという意図を感じさせる。
そして幾分旋法的特徴が著しい第一主題が出現
最初は後の楽句にて、まさにオンディーヌの出現と「ねぇ聞いて、私はオンディーヌ」と始まる神秘的で怪しげな呼びかけであり、多少無邪気で奔放な表情をそして、問いかけるような後半の楽句は、後に無伴奏で回想される。
そして二度目の提示で確保このとき伴奏はリストの「ラ・カンパネッラ」の影響の濃い技巧を感じる方法でオクターヴに広がり
さらに、官能的なうねりや広がりのある瞬間が推移にいくつか当てはめられ。
ベルトランの詩の「彼女は波を語り、流れを語り、湖底の水の城」を語る様を彷彿するにて候。
そして伴奏は属調へ移り、
幾分性格は似ているが、愁いある第二主題が出現
詩のくだりの「指輪を受け水の城の王とになれと言うオンディーヌの懇願のつぶやくような歌」
の始めを想像可能
これも二度の確保でオクターヴに広がる伴奏で印象付けられ
推移して展開部へ流れる。
このコンスタンの編曲では当該部分で現れるオクターヴにまたがる奇音をアポワジュルなオプリガードや呼応として木管に割り当て、その結果、初期の道楽息子や小組曲(*)ごろぐらいの
若きドビュッシーの控えめな管弦楽の色彩に酷似した状態へもって行くのが面白い状態にてござ候。
(続く)
追伸:実際ピアノ演奏ではジャック・フェブリエ演奏あたりがこの辺の堅実さをよく感じさせ好感が持てる次第
(*)ビュッセルの後年の編曲だが前者の編曲を模倣したような痕跡ありの故
追記 1/4/2009 鎌倉スイス先生が本気を久しぶりに出して
分析トピックを開始。
正直 ご多忙のためブログが日々の付き合いとかフレンドリーな話とか、NMLを印象批評していたのが少々
アレだったりしていたが・・先生は決してコアな層へのアピールも忘れいてはいないのが流石。