伊福部氏の特撮付随音楽の評判は、米国の他にイタリアでの愛好されたも凄まじくある一例を示した一例がこの「伊福部昭作品集 イタリアンライヴ」(SLCS-5004)であり申そう。
1988年3/15にイタリアのプラトーでのコンサート、しかし演奏団体は無料コンサートで、有志に近いアマチュア団体と演奏者に、多少のプロの寄せ集めであり、譜面も金銭面の関係から東宝のパブリッシュなスコアは得られず、すべて耳コピーの独自のアレンジによる映画音楽の再現とさまざまなアレンジからなるものにて候。
面白いのはゲストのアーティストにエンリオ・モリコーネのマカロニウエスタンの音楽でスキャットの朗唱者のエッダ女史が参入しており、「モスラ対ゴジラ」や「キングコング対ゴジラ」の演奏で歌を聞かせる。
吹奏楽に若干弦楽が加わった、簡易オーケストラの音色は少々怪しく、ゴジラのテーマは演奏上の制約か?譜面読みの間違いかオクターヴ高いところもあったり、少々失笑を誘うところもあるが、場の盛り上がりは尋常ではなく、イタリアの愛好されかたもたいしたものであるのは確認できる次第にて候。
ライナーノートによると会場はホリゾントスクリーンに東宝特撮のポスターが投影されたり。
前衛絵画の芸術家の音楽に合わせたパフォーマンスもあり。
充実しているが、やはり伊福部というより世評は「日本の特撮」のあつかいなのが、投影されたポスターに伊福部氏の弟子の音楽担当して「妖星ゴラス」などが一緒くたにされているの点で判る。
そんな点を棚に上げてもこの事例は作曲家を喜ばせ、このコンサートへ国際電話で日本語とイタリア語でメッセージを寄せておりそえも、当音盤に収録されている。
確かに聞き所はかなりあり、大編成の合唱による、コングコング対ゴジラの合唱の再現などはステレオで聞けることはすばらしく、長らく井上氏の「ゴジラ伝説」でのシンセ編曲の寂しい合唱で聞いてきたものにはすばらしいものでござ候。
またピアノ編曲による帝都の惨状は、これひとつで独立した伊福部作品のピアノ小品にしてもいいような芸術性の高さも示し、初代ゴジラの音楽のすごさを伝える出来栄え。
会場ノイズもすごいが場内吊マイクで捉えられた録音は音盤を作る前提ではなく、記念とししての、私家盤的要素が強く・・・このような音盤が国内使用で発売されたのは驚異の事実ながら、演奏家の音楽センスのすばらしさは、面白さを超えて際物との間を微妙に越えるもにであり、さらに深入りする方々は探訪を推奨セルものにて候。