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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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カテゴリ:書籍@音楽( 1 )

マクシム& ガリーナ ショスタコーヴィチ!プロコフィエフに怒られる

わが父ショスタコーヴィチ―初めて語られる大作曲家の素顔ミハイル アードルフ (編集), 「カスチョールの会」 (翻訳), ガリーナ ショスタコーヴィチ, 田中 泰子, マクシム ショスタコーヴィチ


 かつてでたヴォルコフの編纂した真偽不明な「ショスタコーヴィチの証言」(中央公論)での・・・父親のソヴィエトから地上30cmぐらい浮いていそうな言動や行動をしているようなロコフィエフへのネガティヴな感想はすごかったが?・・・今回の著書にはそれを俄かに信じたくなるような、息子と娘の言及しているチャプターがある。

「P27-プロコフィエフそして第八交響曲の作曲」


 内容は子供心にみた父親ショスタコーヴィチの第二次世界大戦での交響曲第七番「レニングラード」作曲のあとぐらいにあわてて当局の手配で疎開を始める様子からはじまり。

 疎開先での捕虜にたいする「慈悲的見解」をのべる父親の「ちょっといい話」や戦争後のスターリンの死そして、シベリウス賞をもらいに国外に渡航する際の制約と、渡航時のお土産に関する娘のお茶目、そして作品初演にまつわるムラヴィンスキーやコンドラシン他の指揮者、チェロのロストロポービッチに声楽のヴィジネフスカヤの交流が描かれており、いつもはこのような伝記証言物はいい印象をもたない当方もそれだけで目が釘付けになるもの。

 そんなかかなり最初のところにプロコフィエフが現れるのが、この当該部分であり、それ以外は当作曲家は現れない、もしかするとショスタコーヴィチとの不仲は「前述の証言」の素材になったのではとも勘ぐるような状態でもある。

 最初にガリーナの証言で

かんかんに怒った男性が窓から身を、乗り出して私達子供を大声で怒鳴りつけます
「今おまえたちの耳をひっぱってやるからな!親父さんにも言いつけてやる!!」
 とはじまり、当時疎開先の区画が近いプロコフィエフの住居の傍で騒いで、いつも起こられていたことを回顧する

さらにマキシムがその理由がプロコフィエフを揶揄する悪質なイタヅラだったことを暴露する

前文略 
僕達はそぉーっと近づいて、窓の下まで来ると、大声で「セルゲィー・セルゲヴィィチ・トラッタター・トラッタター・セルゲィー・セルゲヴィィチ・トラッタター・トラッタター!」どどなるんです

この手の話ではアメリカ亡命中のバルトークの家に指揮者デビットジンマンが石を投げて、からかった幼少のころを告白したのが記憶に新しいが、これも負けず劣らずな見事な煽りっぷりと言え、かなりプロコフィエフが「子供心に奇妙でスリリング」な「其の手の対象」のおいしいカモでもあったことを伺わるえるにて候。

 そしてプロコフィエフの反撃もマキシムは証言する

中略
部屋の中から文鎮やらいろんな物が飛んでくる

#これは子供相手に本気ですね#
そして「耳をひっぱってやる」
という声が耳の中に残ってるとマキシムは締めくくる。

 ピーター狼の印象からプロコフィエフは「子供」好きのような印象は強いが、もしかすると「自分が子供」でいたかったゆえのピーターと狼だったのやも?裏腹にソビエト当局から夏の日や冬のかがり火などを要求されながらも、複雑な心境で自分のために楽しんで書いていた可能性も勘ぐれるような、いい大人が剥きになるエピソードにて候。
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追伸:アパーの部屋の直下で餓鬼が騒ぐのは確かに辛い・・・・何度柄にあわん説教垂れた事か・・・!?
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by dr-enkaizan | 2004-11-07 12:57 | 書籍@音楽