ブログトップ

六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

drenkaizan.exblog.jp

ラヴェル「三つの(ローマ大賞への)落選カンタータ」


 一度言及しておきたい楽曲にて候。

 ラヴェルはパリ音楽院在学中に三回ローマ大賞を受けるも3度落選の憂き目をみており、その後その評価の不当がもとで上層部ラヴェル派と否定派との間で紛争が起き、結局ラヴェル支持派の恩師フォーレを学長に迎え上層部が一新するゆわゆる「ラヴェル事件」が起こる。

その恩恵で、フォーレに招かれドビュッシーはパリ音楽院に課題曲を委嘱されたりする事もあったりするが、これにより進歩的な方向へ音楽院のアカデミズムの意味合いが変わって行く切っ掛けもなったのはたしかにて候。
 さて3度の曲目は
カンタータ「ミルラ(Myrrha)」(1901)[3独唱,Orch] F.ブシェ詞
カンタータ「アルシオーヌ(Alcyone)」(1902)[3独唱,Orch] A.&E.アデニス詞
カンタータ「アリサ(Alyssa)」(1903)[3独唱,Orch] M.コワフィエ詞
であり、ラヴェルの選定してたのは、中近東から地中海的題材の劇的なテクストであり、その点では審査員受けする音楽の瞬間の合間のことさらそれを強調する要素盛りこまれている、それはミルラやアルシオーネには、中近東的要素というより、スペイン風な感じ非常に顕著なマラガ進行の和音エリクチュールが配合されており、当時の審査員の問題にしたことを多分に匂わせる一つであり候

 さて、さてさらに審査員の問題にしている「シャブリエ」や「サティー」の歌曲や楽曲を思わせる個所も確認でき、とくに2作目のアルシオーネの二重奏の「ルートクリシェ」反復やドビュッシー風の並行進行のエリクチュールもあり、それはマスネーのような劇的要素とワーグナーの半音階和音の音楽が盛り上がった後になされ、明らかに剥離してる書法感覚を禁じえない思いにさせれるるものにあり申すもの、また若干ミルラやアルシオーネにはR・シュトウスの交響詩「ドンファン」あたりの楽曲の管弦楽の階層的クチューリルも透かしてみえるのが、その後の「ラ・ヴァルス」での関連を先どりすることを感じさせる。

 最終のアリサにては多少の管弦楽の大胆な使用と刺激的和音の使用がみられ、多少アカデミズムに薄っすらとした挑戦をするが態度を感じる当りに、ラヴェルの居直りすら感じさせるところがあり、それはその後の管弦楽を髣髴させるところありなん。

 例えばアリサのアリア的な「黄金の花」の下りに弦楽器の5度と3度が交差する二つのパートからなる分散和音はダフニス「夜明け」のそれであり、冒頭の木管との二度のはねとぶトレモロやもアポワジュールな和音ヒットに及ぶ弦楽の多彩な表情は、アルシオーネの弦楽器のスル・ポンティチェロによるトレモロなどと合わせて、「スペイン狂詩曲」の「夜の前奏曲」の萌芽と見ても言い過ぎではないが、全ては伝統的な中での唐突な表情なので、説得力に乏しい結果を知らしむるものであり、ラヴェルの天才も一夜にして為らずと言う事をことさら感じるものにて御座候。

 この後にも幻想劇序曲「シェヘラザード」での失敗もあり、正味管弦楽で開眼するのは1907でのスペイン狂詩曲ということになるので御座ろうか?


タイトル:Ravel: Cantatas
作曲:Maurice Ravel (1875-1937)

a0007939_305176.jpg



演奏Michel Plassonプラッソン(ミシェル)指揮
トゥールーズ市立管弦楽団

追伸ブックレッドの裏側に表のミュシャ娘の薄いポートレートが存在の薄いカンタータを暗喩しているか?

a0007939_315425.gif


 プラッソンの演奏は充実した歌手群と手馴れたトゥールズのオケでそれらの特徴と問題を気がね無く提示しながらなんでもアリの現代では、問題のないレパートリーとして真剣に録音に及んでるのは好感が持てるものと診断さるる
[PR]
by dr-enkaizan | 2004-08-10 03:06 | ラヴェル@声楽曲
<< ウェザーゲイシャって・・・・・ Blog化した斉諧生音盤志の音... >>