近年その音源の一部が姉妹筋のナクソスに移行し、活動が顕著ならざりて、解消しつつあると思った、珍曲の登竜門マルコ・ポーロレーベル・・と思いきや、クラシカルな作曲家の映画音楽のスコアの音化に勤しんでいたらしい次第にて候。
今回はそんな中でも。フランス六人組の一人ながら、著明な三人の影に隠れがちなオーリックの映画音楽であろ、まあ斯様な世評をよそに、オーリックはむしろ六人組の中では一番映画音楽に特筆すべき成果をのこしたのは、彼が精力的に作品を作る時代が、戦後のトーキー以後映画であってのことでもある。
オーリック:オルフェ/ルイ・ブラス/山師トマ
特に旧知のジャンコクトーとの完備なるコンビネーションによる彼の映画につけられた音楽は、その当時の貧しい音質からも垣間見られ、一度優秀な録音で聞いてみたい欲求に駆られることが多く、今回の幾つかの音盤はそれを満たす内容になっている次第にて候。
そしてこの音盤での聞きは、最後の最後での切ないどんでん返しで元祖ツンデレだったと解る、の死の国の王女”(マリア・カサレス)の美しさと、死なせてしまった妻を戻しに、その女王と死の国と現世を往来するジャンマレーが美意識溢れて演ずる詩人が、見ものだった白黒作品コクトー作品のオルフェのサントラに始まる。
その音楽は、デリケートな表情豊かな弦楽。しかいドビュッシーやラヴェルに近いが、むしろトリルやトレモロなどの使用は前者の表現の起伏は持ちながらも、ありかたはサティのソクラテスの近親のような静寂を志向している、そして木管の悩ましいモノローグは時に跳躍や不可思議なオギュメンンス嗜好音程移動だったり半音階的になり、金管と合わさりの抑圧的にて抑制的な葬送の旋律として、旋法的にもあらわれ、そしてハープやクロッケンシュピールの音彩や、葬送の示唆である小太鼓のトリルなどの効果的使用というように、多彩な語法に支えられ、地味に(この作曲家として隠れた側面であろう)オーリックの折衷的特性が生かされた内容で展開する。
このほかに後半は恐るべき親たちや山師トマにてオンドマルトノなどが使用され、オーリックらしい気の聴いた劇伴奏堪能できるが、各位耳にて確認されたし。
本当のお話はスーパや駅前の露天または書店あたりでDVDが500円ぐらいでておりますので見てください。