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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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バラキレフ:ピアノソナタ ピアノ表現の歴史を一気に無謀に駆け抜ける書法カオス

 さてバラキレフと聴くと、皆様のうち、ピアノでの技巧難曲の「イスラメイ」以降記憶がたどれる方々がいたとしても、交響曲や交響詩であり、それをなぞるかのように音楽ベンダーも、イスラメイ以外のレパートリーは希薄に辛うじて大半の各分野のレパートリーが点在する次第。
 しかしながら、恐らくロシア五人組のなかでも、とりわけ音楽書法を自在扱える教養をうかがわせ、リスト ショパン シューマンを理想とするピアノ技巧性とロシアおよび中央アジアの民族性そして、西欧文化圏のロマン主義にまで広い視野のある音楽は今後注目される作曲家であるのは、昨今の彼のピアノ作品全集の譜面などの話題からも、今後我々が知りえる音楽宝庫として留意すべき事項の一つであると所見さるる次第にて候。

さてそんなバラキレフの知る人には著明な稀少なものに、あるピアノソナタはその宝庫への導入として相応しい、珍妙な内容ゆえ我拝聴推奨セリ次第。
ピアノ・ソナタ変ロ短調 (1900-5)

嘗て80年代レコゲイの特集にも紹介がなされており、かなり昔からの珍妙な秘曲だが、昨今のトレンドから忘れ去られている観もある。

第一楽章はダイアトニックな短音階の装飾が、ドビュッシーの「ピアノの為」の前奏曲や、ストラビンスキーの春の祭典の冒頭などの主題の原初の血脈を感じるロシア的主題が、バッハのフーガのような遁走的多声展開がなされ、それ古典派のような伴奏上になって、それがショパンのピアノ曲の響きに変容し、最後はまた折り目正しい終止がなされる。
第二楽章のマズルカはリズムの扱いはドビュッシーのそれに近いが、ロシア調の節回しがかなりの風情。
そして第三楽章は間奏曲であり、歌というよりショパンの楽曲にあるアルペジオや途切れる歌による音詩であり、次第にスクリュアビンを思わせるかのような官能的盛り上がりもするが、静まり途切れるような終わりかたをする次第。
そしてフィナーレはチャイコフスキー的なアカデミズムなエリクチュールでロシア的叙情を表現し、技法的要素で開放している音楽展開している、短調のロシア的情緒あるロンド主題に前の楽章の回想もなされ、構成を引き締めても進み、最後は、ハーフディニッシュコード含む機能進行で、多少静まり心地よい憂鬱で曲は終止する。
現状どれだけ音盤があるのか不明ながら、NMLでモノラルながら、ケントナーの演奏で再会できるのが嬉しい次第。

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8.111223 バラキレフ:ピアノソナタ/リスト: 巡礼の年 第2年より/他(ケントナー)

なおショパンについてバラキレフの考は、ピアノ曲を簡素整理したような、敢えて編曲と呼ばず組曲「ショパン」としている作品のスケルツオなどで伺え知れるが各位に委ねる。


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8.220324 バラキレフ:ショパンの作品による組曲/序曲集
BALAKIREV: Chopin Suite / Overtures
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by dr-enkaizan | 2008-01-07 01:09
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