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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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「樹海の木々」-三大バレー以外のストラヴィンスキー1982(3)

さて暫しの休止から(笑)再開
レコ芸1982からの三大バレー以外でのストラヴィンスキーのチョイスの件、今度は現代音楽の評論重鎮の船山隆氏の選定
交響的幻想曲「花火」
ブルレスク「狐」
バレエ「プルティネルラ」
バレエ「結婚」
バレエ「ミューズの神を率いるアポロ」
詩篇交響曲
バレエ「カルタ遊び」
エボニー協奏曲
バレエ「アゴン」
レクイエム・カンティクルス
ピアノソナタ嬰へ短調
日本の三つの叙情歌
交響詩「鶯の歌」
交響曲ハ調
カンテククルムサルクム
となる
氏曰くその作風の多様については・・・・

ストラヴィンスキーの六十年以上にわたる創作活動は、二十世紀音楽史の複雑な歩みを反映し、バロック時代や古典派やロマン派の時代には考えられないような激しい変化に満ちたものであり、(以下略)
とその実は作風の様式区分は困難であると帰結している。
そして三大バレーを
創作の樹海のなかで少しだけ突出した大木

とたとえ、しかしそれ以外の百曲以上も
ストラヴィンスキーの音楽の特質は見事に刻印され、いずれも見落とすことのない重要性をもっている。
と三大バレー以外の楽曲を定義つけている。

 確かにこれらの特徴はここでの選定では漏れた、最近「庭は夏の日ざかり」さんでレヴュー中の「バレーの情景」などの例をとっても、その新古典主義とアメリカの芸能(*)との接触などの、それらのストラヴィンスキーの置いた場所の時代の影響を感じさせるものであり、じつに区分しずらい、しかしその音楽は紛れもなく含まれる語法はストラヴィンスキーならではものであり。

ここにおいての船山氏の区分の困難という形容と非常に符合もする次第にて候。

*ブロードウェィの歌手にして劇場支配人メアリー・ローズの依頼によるレヴュー演目の劇中バレー

そして、今回の選定の視点を船山氏はこうも語る。
作品の芸術的価値よりも作曲家の創作過程を知るという視点から(以下略)

これはフランスバロック接近への興味による弦楽テクチュアの追求
のアポロや、ジャズバンドの独奏プレイヤーの即興性を再現してみたい興味本位の駆られた、エボニー協奏曲
そしてテクストによる禁欲的オスティナートや、その管弦楽の切り詰めた表現を見越した詩篇交響曲、これと同様ながら、テクストによるさらなる異質のフェルメノンを示す日本の三つ叙情歌(*)など円海山にもそれが何らかの創作的過程の変遷を考察さるるものでありなん。

さらに締めくくりに船山氏は
三大バレー作品しか知らない読者諸氏がいるとすれば、例えば最晩年の「レクイエム」のこの上ない清楚で美しい鐘の音楽に耳を傾けることをお勧めしたい。
と文面を締めくくっている次第にて候。

さて次回もつづく。

追伸ストラヴィンスキーの演奏にん「夏の日ざかりさん」の言っている
承前>、「作曲家ストラヴィンスキー」の様式を的確に捉えて、その変遷を大袈裟なくらいわかりやすく伝えようとしているみたいです。

の件は、船山氏のそれと何らかのシンクロを感じるので是非ご一読を。
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by dr-enkaizan | 2007-09-10 00:55 | クラシック
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