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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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So I'll go down to some lonely waters モーランの心象風景

最初にある曲の詩を引用。
So I'll go down to some lonely waters
Go down where no-one shall me find
Where the pretty little birds do change their voices
And every moment blow blustering wild

訳意

 そして私は、人里離れた水辺へ行く
 そこは誰にも見られず、
 可愛いい小鳥たちが声を交わし、
 絶え間なく囀っている。


 なんと不可思議な語り始めにて、まるで孤独を楽しむのかそれとも、喧騒を逃れるのか、呆然とそこへたどり着くのか?なんともいえない心情をイギリスにある沼沢の湿地帯の情景に託すかのようであり、何処と無く切なくもあり病んでいるともいえそうな語り口にて候。
 それはイギリスの近代作曲家にて、RVWの作風を近代にリファインした作風で好事の方々には知られる(*1)、アーネスト・ジョン・モーラン(Ernest John Moeran 1894年12月31日生1950年12月1日死去(*2))の楽曲二つの小管弦楽の小品(1931)の一つ、lonely waters の声楽入りの版にてソプラノが、曲中全般に器楽に提示される切ない節に、沈着してたどりついた末にそれに、つけて歌う歌詞でありなん。

 曲はRVWの田園交響曲に近き音彩の弦楽の刺繍の上下を、オーボエやフルートの囀りのようなメロディーの断片という穏やかな情緒的な風景で始まり、時に歌われる長い節や、若干ポリコードやポリトナールになる弦楽の和音付けや木管動機などが、ハイライトのように配置され、そしてコルノアングレィーがlonely waters の一節を切なく提示して、弦楽が再び豊かな歌を朗々と歌い、、木管もそれ応じて推移してゆき、時にlonely watersの節をホルンが気まぐれに出現させるが、そのうちに組織的に絡みいり、その推移自体がlonely watersの節の対位法的技法の上に成り立っていたことを示唆し、その直後音楽は盛り上がり、その後は沈着しながら推移して、その末に、ソプラノが表われ、冒頭が回帰してフルートの涼しげなリフレーンの低音のピッチカートにて終止する。

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ジェフリーテイト指揮イギリス室内管弦楽団の演奏であり。

唯一の声楽入りのlonely waters (ロンリー・ウォーター)が収録されていると話題に一部で狭い評判と話題になったものでありなん。
現在は違うジャケッド国外では発売中なれど、1988年発売当時に音盤で流れていた不可思議な切ない懐かしい音楽の具合とジャケッド衝動買いしたものにて、買った後に三浦氏の愛聴の盤として紹介され非常に嬉しき魂消た思いでもあり。

尚、に国内でもカップリングそのままでジャケはシリーズデザインになり、一度発売されている。

 ほかにバックスやブリッジの管弦楽の小品があり、クライバーがシカゴで片割れを演奏した、拘りの一曲で一般には有名になった。バタワーズの二つのイギリス田園詩曲などもあり、これ一枚で清涼感と懐かしさを提供する快き一枚。

(*1)なぜか山尾氏の英国近代音楽入門にはないが?、きっと続とか改訂版にはでてくるでしょうね。
(*2)一部の向きに1951年という記述もあり死因も脳卒中や桟橋転落にての溺死という二説ある?なおモーラン自体戦役にて負った傷にて精神を煩う経歴もありそれは、アルコール依存症などと並行し彼の健康に影を投げかけている、ゆえに多様な要因も推理できるが、はたまた転落の原因が脳卒中であったのかは、音楽鑑賞となんら関係のない詮索ゆえにこの辺にて。

 ただ親愛な友人の作曲家ウォーロックの自殺の後、残されたモーランは自らの死を迎える所となるアイルランドのケリー州ケンメアで夫婦で殆ど暮らすなどの色々興味深い事例もあり、そのスタンフォードとアイアイランドに学び、自身の確立せんとした。一歩下がった近代的作風の先の、「何か」は独特であり色々感慨を持ちたくもなる。
 その辺のうかがい知るにては1937完成のRVWとシベリウスに三大バレーのストラヴィンスキーが入り乱れているような、軽妙なリズムとだれない切れ込みが魅力的な、交響曲を推奨、その作曲家憑かれた、アイルランドの祖先の興味に由来する音律の道具立てによる、陰鬱と沸き立つ躍動そして、衝動的なインパクトや表情の豊かな音楽は、そのフォーマルには既成があるような気もするが、その構成や垣間見られる用例の新鮮さは格別。
8.555837 モーラン:交響曲 ト短調/シンフォニエッタ
MOERAN: Symphony in G minor / Sinfonietta
ボーンマス交響楽団 - Bournemouth Symphony Orchestra
デイヴィッド・ロイド=ジョーンズ - David Lloyd-Jones (指揮)

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なおNMLでもロンリー・ウォーターは声楽無しも聴けるゆえ、これが本来の現行ゆえに拝聴推奨
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CHAN10168X MOERAN: Violin Concerto / Cello Concerto / Lonely Waters / Whythorne's Shadow
アルスター管弦楽団 - Ulster Orchestra
ヴァーノン・ハンドリー - Vernon Handley (指揮)他

なおソプラノはコルノアングレィにて歌われる。
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by dr-enkaizan | 2007-07-16 21:29 | 解説のない音盤紹介
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