ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」/歌劇「ペドロの親方と人形芝居」
FALLA: Amor Brujo (El) / El Retablo de Maese Pedro
リアル音盤は
De Falla: El Amor Brujo; El Retable de Maese Pedro
さて今年2007の「熱狂の日」でも演目に上がりっている当曲・・・
スペインのマラガ文明の端たる楽曲でもあり、ファリャの切り詰めた近代管弦楽法の見本たる傑作。
その物語は若いジプシーの未亡人カンデラスが、亡き夫の幽霊に付きまとわれ困惑しているが呪術師の助言で女たらしだった亡き夫の幽霊に別の女をあてがって囮にし、そのすきに新しい恋をみのらせ、夫の霊は成仏させるという内容であり。
音楽は、スペインの民俗的語法をフランス近代音楽の延長上として捕らえ、所にオカルトめいた情景で幽霊や鬼火、にジプシーの住む洞窟や歌や踊がちりばめられ、見事なスペイン土俗を舞台上で昇華したかのような印象を持つ。
今回の音盤はファリャが、ジプシーバレーの依頼で作曲し、1915初演(不評だった)から、その管弦楽拡大と構成を変更削除した現行(1925)ではない、その初演の譜面を使用しており、管弦楽は小さく、構成は現行の単幕から二幕になり、火祭りの踊などや恐怖の踊の位置が違い、女声独唱のほか曲の合間に語りがつく箇所などあり、削除された曲も含めたきわめて新鮮な手触り満ちており、ゆえに打楽器は減り、オケのショッキングな表現は後退するも、ピアノや管楽器の弦楽の活躍でその歌が浮き彫りにされ、そのジプシーの寓話の譚たる印象をさら強まるのが好感触であり、その後年の改定などから、作曲家の手腕の観点なども考察できる次第にて候。
演奏はオールイタリアだが、そのラテン気質は幾分スペインのそれより穏やながらも、曖昧ささない心地よさで音楽を披露している次第。
さてこれも皆様ご拝聴推奨。
なお現行ではじつは・・フリンツ・ライナーのシカゴ交響楽団が「鉄板」だとおもってたりするので・・・このさい推奨。
ファリャ:恋は魔術師~スペイン管弦楽集