リムスキーコルサコフのはなしを、鎌倉スイス先生のところでしたときにふと思いつく。
CDX-5082 RIMSKY-KORSAKOV: Invisible City of Kitezh Suite (The) / Mlada Suite / May Night Overture
二収録の
りリムスキー=コルサコフ:交響組曲『見えざる町キテージと聖女フェヴォロニャの物語』
同名のオペラからのこの組曲は、内容、そのテクストの虚無は傑作なのに余りに来世めいた結末ゆえか、それとも一つの傑作が全て圧してしまったのか、当題名の歌劇もその一端になる。
最近はロシア歌劇もゲルギエフの活躍もあり、話題に上ることもあるが人気者になると一般のレパートリーに謀殺されるらしく、嘗ての勢いをうしないつつあり、これらを含む歌劇の全貌をもっと我々に明白に知らしめて欲しい次第。
筋はロシアの国敗れて山河ありといった感じの、蒙古の襲来に戦うより消滅を選び湖底に沈んだ、見えざる町キテージの伝承であり、そこの王子と聖女フェヴォロニャの恋物語を主軸にに、各種エピソードがからみ最後は、王子の戦死そしてフェヴォロニャも死に、消えたキテージに魂が向かいそこで二人の婚礼が行われるという、一寸セカイ系の走りのような粗筋。
当音、前奏曲から転用して題名の背景音楽の後、聖女フェヴォロニャのテーマが表われる。森の情景
二曲目は婚礼の行列で現世でのフェヴォロニャと王子の婚礼の場であるが、悲劇を予感するように音楽は暗転して次の「ケルシェネッツの戦い」でのワーグナーのワルキューレを彷彿する騎行の足音と軍靴様相で激しくはじまり、悲壮な面持ちに、そして王子の戦死を象徴する盛り上がり音楽は沈静して、ロシアの荒涼たる大地の静寂へ帰結する「フェヴォロニャの昇天と見えざる町の礼賛」
こちらもヒロインのフェヴォロニャが森で息絶、その魂はキテージへ還ち王子とであい。見えざる町で、敢闘した両者のを祝福する再度の婚礼の鐘が鳴り響き、再び幻影のように廃墟の沈む湖の伝承へ消え去ってゆく次第。
その音楽はリムスキーコルサコフの晩年(1905年)の円熟ある管弦楽でえががけれれる、途中ある箇所はストラヴィンスキーの火の鳥でのカスチェイの到来の渦巻く弦楽と不吉な金管フレーズでの不安を煽るような音楽と、かなり酷似する部分があり、当時彼のもとで同時期の晩年の「金鶏」など創作で弟子謙アシスタントを勤めたことなどから、その音楽表現の根源をここに聞くことも出来るしだいにて候。