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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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ケクラン:管弦楽伴奏つき声楽曲の合間の管弦楽曲


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CD93.159 ケクラン:管弦楽伴奏つき声楽曲
KOECHLIN: Vocal Works With Orchestra

年末と連休好例の常連VIPの方々の来訪があり、その中でストロング小林少年様が言及していたヘンスラーのハインツホリガーのケクランの連作規格の件で。

 実際フンガロトンのバルトーク大全集とこのヘンスラーがなければ見向きもしなかった希ガスにとここに我告白する次第であり、それほど執拗にリリースされるヘンスラーのケクランネタに正直、ついてゆけないもどかしさがあったが、それを一気に解消したのはこのNMlでもあったともさらに告白したい。

さてこの管弦楽のシリーズの補完ともいえるべき今回は二枚組みであり、ケクランの管弦楽伴奏の歌曲と管弦楽の小品をフューチャーしているほかに、フォーレの楽曲をかれが補佐編曲した一曲を含むものにてそうろう、多くのレビューサイトが言及するとおり、今回は初期の作品も含み1910年代のワーグナの影響がかすかに残るドビュッシーイズムの作風の作品様式で締められるが、その透き通る緻密な結晶体のような、あるいはエーテルのような、無色透明な管弦楽法は紛れもなくケクランそのものである次第にて候。
 中でも圧巻なのは「若い娘の想い出に捧げる葬送歌」であり、フォーレを近代化した旋法的で切ない和声的モットウと、葬送の行進の歩みに朗誦的合唱と独唱そして鐘の音が絡み、耽美的にしかし何処となく達観し眼差しで音楽は進まれてゆく、和声の転調とポリコードでの渋い不協和を深遠に響かせるところや、後半の暗い盛り上がは弟子筋のプーランクと「六人組つながり」のオネゲルの典礼風交響曲の第二楽章を先取りした雰囲気もしくは?おそらく存在は当然知っていたであろう生徒筋の問題女児?ブーランジェの詩篇のような面持ちをもつ。題名も意味深であり「ケクラン?若い娘となにかあったのか?」と言うぐらいのめり込む勢いで考えさせる次第にて候。

 そして二つの交響的詩曲から一曲と古風な練習曲という初録音の楽曲であり、練習曲はおそらく・・当時としては、予先見に満ちた内容のオーケストラの表現のデッサンが聞ける次第である、その第一楽章は下降する音形に和声が絡み三度進行などもあり、まるでフィリップ・グラスの渚のアインシュタインの先駆のような様相、第二はクロッケンとピアノそしてハープと撥弦と金属系のリリースの長い系列組み合わせからポリトナールな弦楽和音がそれを補足して、歌われる、そして弦楽や木管の瞑想的歌のような第三楽章で静かな瞑想で曲を終える、誠に説得ある構成であり、これはルソトワフスキーやストラヴィンスキーの練習曲ならび、三大オケ練習曲としたいような気も・・・。

さてもこのほかに燃える茂みやペルシャなども紹介したいがこの辺で。
by dr-enkaizan | 2007-05-03 02:04 | 解説のない音盤紹介
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