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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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ミュンシュの ミヨー「プロバンス組曲」祭り・・・ボストン交響楽団建設のミュンシュ現場監督の立てた建物

 まあ ゆりかもめさんにミヨーのプロバンス組曲のミュンシュ音盤を勧めたのでここにこのネタを臨時開陳セルにて候。
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 故郷のプロバンスの思いいれある当曲は1936年完成後に、1937年ごろヴェネチアで初演される、その後のヨーロッパがどうなったかは皆様周知であり申すが。

 台頭してきたナチスの人種排斥者世論操作に、無論ユダヤ系のミヨーもアメリカ亡命せざる得ない顚末を迎える。

 この曲にも実は第三曲冒頭の音程跳躍などに代表される、プロバンスの要素に偽装された隠し絵のようなクレズマ的要素があるが、それはいずれ。

いずれにしても長く入れないであろう故郷への望郷も推察できるが、ミヨーらしい建前の仕事の成果も疎かにしてはいない次第。

 曲はプロバンスの古い歌やカンプラの引用や形骸模倣をミヨー独特の語法と厚いオーケストレーションで肉付けした音楽が展開され、余りに不勉強な聞き手が騒ぐ「屋根の上」や「世界の創造」などのブラジル要素が優先されてしまったミヨーの本来の聞くべき代表曲とも申せるしだいでありなん、

 曲は八曲からなり一部が再現されることにより全体を故郷のオードとして引き締めている。
第1曲 AnimeGuardians(牛の番人) 2/2
アーフタクトの民謡風の旋律がプロバンスの太鼓のシンコペーションリズムを模した低音和音とときにプロバンスの笛の軽やかなの伴奏をともなう、豪快に幕開けされる音楽であり、中間でアルカイックなるリディアやミクソルディア旋法の節がクレッチシェンドで表われ壮大さをまし、リディア旋法がカノン的展開を示し再び民謡風旋律に復帰して壮大に終る。
作曲家プロバンス心意気の建前がここにありか?
第2曲 Tres modere トレ・モデレCueilette des amandes(アーモンド摘み) 4/4
バロック風の落ち着いた堂々としたオードであり(実際カンプラの音楽引用や模倣であるが)、プーランクにありそうな和声進行で一旦終止して、後半に対位法的な線の律動を示し、まさに収穫の様子を一つの額縁つある絵画に昇華させている。

第3曲 Modere Joueurs de boules(球技をする人たち)2/4
古い歌の「アヴィニオンの橋の上で」をベースにしたメロディ四刻み中太鼓リズムの伴奏が付いておりによる合いの手が2拍目4拍に打楽器で付き、なかなか通俗的な編曲であり後半は復調的な和音もしくは未解決な音程を並行進行して和音によるヴォイジングの、朗々とした郷愁溢れた歌が歌われ最後に短く四刻みのアビニヨンが復帰して終了

第4曲Vif ヴィフPecheurs(漁師)3/4
オクターヴ跳躍のフレーズが壮大に活発なリズムを刻み開始される舞曲であり。
ステリア風なメロディーの優雅で快活な節の舞曲が展開され、中間で多少落ち着き再び半音階的和声上昇に導かれ金管が現れ冒頭の復帰を促し、舞曲の復帰で終止する。
短いが非常に印象深い。
雰囲気はまさに漁師のいる漁港の界隈たる。

第5曲 Modere; モデレChasseurs(ハンター) 6/8

 トラムと低音金管のホルンの6/8拍子のスリーステップを基調にしたマンドセロのリズム模倣上でトランペットやクラリネットが奏でる8小節単位の悲壮感に哀愁ある旋律と対旋律(三刻み)の反復、そして一転して対位法的第二曲の後半が回想されてまたもや額縁的な美麗な終止が来る、

第6曲 Vif ヴィフ(アレグロ)Venanges(ぶどう収穫期)3/4+6/8
 四分の三拍子
 メロディは三拍子で伴奏は二拍子の四刻みというポリリズムであり、なにか収穫期忙しさのような印象を目論んだかのような音楽り、三拍子の短調メロディーの繰り返しが多彩なオーケストラで受け継がれ盛り上がる。
第7曲 Lent ラン(レント)Bergers(羊飼い)4/4~3/4
 
 第二曲の冒頭の再現にはじまり、葬送の行進のようなリズムで瞑想的な旋律がチェロに表われる、タイトルから宗教的な鎮痛な印象を持ちえる。

第8曲 Vif ヴィフ(アレグロ) Farandole(ファランドール)3/8
いわずと知れた笛と太鼓のプロバンスの舞曲であり、著明なビゼーのアルルの女のそれと違い三拍子の男女による輪舞であり、時よりリフレーンにミヨー得意なポリトナール(複調)の苦い響きがアクセントとなって表われるが、非常に楽しく大団円なプロバンス風土紀行を締めくくる。

さて推奨のミュンシュボストンの音盤は60年代には名盤とされたが、90年代でボックス復刻までの70-80年代は、曲共々殆ど無視された経緯があり、80年代当時は神田のバイロイト音盤店で出物珍品音盤扱いですらあった次第である。
この昨今に再発売で廉価の登場はともかく歓迎されるべきにて候。
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演奏は無論雄大であり、プロバンスの奔放が無限大に巨大であるかのような印象をもつ、しかも厚い歌い込みもあり、充実しすぎるゆえに、鄙びた要素というより、まるでおらが村にできた巨大な会館のような「音楽の入物行政なる」趣もあるが・・そのスコアを余すことない集中力で構築再現した結果に他ならないゆえに、プロバンスにボストン交響楽団建設のミュンシュ現場監督の立てた建物の見事な施工振手腕の統制振りを、皆様ご拝聴の程宜しく。
 
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ミヨー:世界の創造 プロバンス組曲他
世界の創造やプーランクのオルガンと弦楽のティンパニ協奏曲などもあり、ミュンシュらしき厚く凶暴な演奏が楽しめます。



これですねミュンシュ演奏のイメージは・・・・(笑)
潮風アリーナ
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by dr-enkaizan | 2007-03-04 19:21 | 解説のない音盤紹介
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