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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

drenkaizan.exblog.jp

マーラー 交響曲六番 不定期特集(破)Tralali, Tralalei, Tralalaの謎,

さて六番祭りの二番目はこれと関連の深いマーラーの歌曲を言及
一般にマーラーの交響曲には、角笛交響曲というカテゴリーがなされているのは周知の通り。

マーラーは己の歌曲から素材を流用したり関連ぶかいテクストにて、交響曲の素材にしており、上記カテゴリはそのうちの「子供の不思議な角笛」もしくは少年の魔法の角笛」称される同名の
ドイツのアルニム(Achim vom Arnim 1781-1831)とブレンターノ(Clemens Brentano 1778-1842)の作での民謡詩集で歌曲集がつくられており。
その歌曲集に漏れた詩が交響曲で使用されたり、歌曲集の歌曲のメロディーが器楽に転用されて交響曲の素材になっている物を指す。

主なものを列挙すると・・・
交響曲第二番:第4楽章「原光」は詩が使われて声楽に、第三楽章は魚に説教するパドヴァのアントニウスのオケのよるトランスクリプションとして管弦楽のスケルツオへの素材へ転用
交響曲第三番:3人の天使がやさしい歌を歌うは第五楽章へ女声合唱曲として転用そして「夏の歌い手交代」がオケのよるトランスクリプションとして管弦楽のスケルツオへの素材へ転用 
交響曲第四番:本来第三番の第7楽章になる予定だった、第四楽章の「天上の暮らし」が詩が使われ声楽に

でありこれらを角笛交響曲の連作扱いを受ける次第。
ほかにも器楽三部作の五番(*)の第一楽章の太鼓表現の一部を少年鼓手に フィナーレの音階の上向きのフレーズを.高い知性の讃美にその起源を定めたり
晩年の交響曲第十番の第三楽章の「煉獄」の伴奏の音形を「この世の生活」との酷似二注目されており。

上記前期の交響曲以外にも様々な流用がなされている可能性が注目もされている今日この頃にて候。

 さて当交響曲六番もその第一楽章の、最初に出てくる第一主題の準備句の付点のリズムでアーフタクトに入る半音階フレーズが当該する事例では思われる箇所があることを此処に示唆する次第。
そのフレーズの原型は死んだ鼓手Revelge (Reveille)にでてくる一句節に酷似するものである。

その死んだ鼓手Revelge (Reveille)の内容をここに開陳すると・・・。
Revelge とは起床の太鼓の意味あり此処では、軍隊の責務の象徴として、あるいは死者の魂すら戦場借り出すようなおぞましい呪文のような、ことと鼓手の心の呼びかけのメタファーか?。
常に隊伍の前衛の鼓手は、朝はやく夜遅く行進が任務 唯一嬉しいのは恋人の家を通過して、可愛い恋人に見守らている事。
 そして敵との戦いが始まり戦場に赴き被弾する友を思いつつ、任務である太鼓を打ち続け行進(*)いつしかあたり一面屍になる、孤立に畏怖し「友に訴え」それでも太鼓を叩くと。
屍が太鼓の音に目覚め、それらの倒れた者達が立ち上がり敵を駆逐する。
(*)この時点で鼓手もどうにかなってる

 そして彼らは、その出撃の朝見守っていた夜に骸骨の成りをした幽霊としてほかの戦死者と一緒に隊伍をなし恋人の家の前を通過、鼓手は先頭に鼓手を勤めるここでも先頭にいる
恋人に自分だと解ってほしいがために。

曲は勇ましい行進のリズムが頻出しているが、六番の冒頭に出現し頻出するフレーズの元ネタは
朝夕の任務を嘆き、恋人に見守ってもらえるのを萌としている兵士を歌う
Des Morgens zwischen drein und vieren,
Da müssen wir Soldaten marschieren
Das Gäßlein auf und ab;
Tralali, Tralalei, Tralala,
Mein Schätzel sieht herab.

のTralali, Tralalei, Tralala,であり
これは次の節の同じメロディーで
被弾した!!体に弾がめり込んた自分を営舎に連れていってくれと懇願するあとにも現れ。
"Ach Bruder jetzt bin ich geschossen,
Die Kugel hat mich schwer getroffen,
Trag mich in mein Quartier,
Tralali, Tralalei, Tralala,
Es ist nicht weit von hier."

こんどは一度楽想が明るい勇壮な歌に一転
俺は突撃しなければならない、悪いがお前のご加護は神様 太鼓を叩かなきゃならないと、兵士が悲壮ながらも責務を果たす高揚感を歌う箇所には
前回と違う節が与えられておりこれは第四楽章に裏味として酷似してるフレーズが出現している
"Ach Bruder, ich kann dich nicht tragen,
Die Feinde haben uns geschlagen,
Helf dir der liebe Gott;
Tralali, Tralalei, Tralala,
Ich muß marschieren bis in Tod."
上記の節では再び冒頭の音形へ
"Ach, Brüder! ihr geht ja an mir vorüber,
Als wär's mit mir vorbei,
[Ihr Lumpenfeind seid da;]1
Tralali, Tralalei, Tralala,
Ihr tretet mir zu nah.

よいよ取り残された太手が屍となった兵士をを太鼓により起床させ、敵を駆逐する非現実が始まる箇所でも両方の形で短調や長調化されながらもフレーズが登場。

音楽はドラム流し打ちのロールでの刻みを背景に、短調和音や長調和音がときに弱進行するファンファンーレで盛り上がる。

Ich muß wohl meine Trommel rühren,
Sonst werde ich mich [ganz]1 verlieren;
Die Brüder dick gesät,
[Tralali, Tralalei, Tralala,]1
Sie liegen wie gemäht."

Er schlägt die Trommel auf und nieder, rührt
Er wecket seine stillen Brüder,
Sie schlagen ihren Feind,
Tralali, Tralalei, Tralala,
Ein Schrecken schlägt den Feind.
同じく音楽はドラム流し打ちのロールでの刻みを背景に、短調和音や長調和音がときに弱進行するファンファンーレで盛り上がるが、前もふくめ、このときの木管のターン音形も第四楽章の主部の行進で出現している。

Er schlägt die Trommel auf und nieder,
Da sind sie vor dem Nachtquartier schon wieder,
Ins Gäßlein hell hinaus,
Tralali, Tralalei, Tralala,
Sie ziehn vor Schätzleins Haus.
一段落して冒頭のリズムが弦楽の弓の木部で叩くコンレーニョによって現れ、全滅した軍隊の幻の凱旋が始まる、隊伍の戦死者たちは、骸骨様の幽霊になって恋人の居る家の前を通過して帰還する様が歌われる。


Des Morgen stehen da die Gebeine
In Reih und Glied sie stehn wie Leichensteine,
Die Trommel steht voran,
Tralali, Tralalei, Tralala,
Daß sie ihn sehen kann.

 墓標の如し屍の隊伍の列 その前衛は常に鼓手 恋人に見つけてもらえる故に。

背筋が凍るも、非常に切ない内容であるが此処でもTralali, Tralalei, Tralala,は冒頭の音形に弦楽が追加され意味を強調する次第。

 当交響曲は成立の影にはマーラー夫婦二人での譜面作成の共同作業による完成をみた作品であり、第一楽章の調性が「a moll」で始まり、その調性での第一主題に第二主題はへ長調表記になりつつも「a」の音で始まるあたりの 「a 」への固執を考慮に入れると?
作曲者自身アルマを意識してたのは想像に難くないとも愚考できるが、
此処に何故「Tralali, Tralalei, Tralala,」と、
兵士を起床鼓舞し
、時に戦場で仲間を見捨てるほどの責務でもあり、
自分も見捨てられ、存在を主張する叫び
屍の凱旋の先頭に立つ鼓手の「恋人に見つけてもらう」

手段の意ある擬音的フレーズを盛り込んだのが
 後のまだ表面には現れない、アルマの愛人の秘め事への破局への意味深い可能性もありと診断セリ。

一度合わせてご拝聴推奨。

Mahler: Des Knaben Wunderhorn (The Youth's Magic Horn)
Walter Berry Gustav Mahler Leonard Bernstein Christa Ludwig / Sony


ベリーとレニー異様な盛り上がりは他の演奏がかすんで行く次第ながら、表情は過剰なる可能性もあり。


マーラー : 歌曲集 「子供の不思議な角笛」
フィッシャー=ディースカウ(デートリッヒ) シュワルツコップ(エリザベート) ロンドン交響楽団 マーラー セル(ジョージ) / 東芝EMI
ISBN : B00005GINE
スコア選択:
フィッシャー=ディースカウといえばこれも伝説の名演奏


マーラー:さすらう若人の歌
フィッシャー=ディースカウ(ディートリッヒ) フィルハーモニア管弦楽団 フルトヴェングラー(ウィルヘルム) マーラー ベルリン・フィルハーモニック管弦楽団 ケンペ(ルドルフ) リュッケルト / 東芝EMI
ISBN : B00005Y14

落ち着いてきくならこちらが定番か?


マーラー:子供の不思議な角笛
ポップ(ルチア) シュミット(アンドレアス) アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 マーラー バーンスタイン(レナード) / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00005FIM8
レニーの再録音も初回に比べるといまひとつながらも健闘

なおSF小説+アニメの方々にはこの曲マーラー交響曲六番の
認知されかたは・・・・・。
ヤン・ウェンリー氏がナイスナ共感できるのは普遍な、アニメ化された銀河英雄伝説でのBGMで「イゼルローン要塞奪取」 とか薔薇の騎士連隊とかいうとピンとくるようであり。
銀河英雄伝説「銀河英雄伝説」 サントラボックス
ビデオ・サントラ / 徳間ジャパンコミュニケーションズ
ISBN : B00005GF1K
あたりからクラ界に進出してくる堅気な方々おりますゆえ。
すかさず歓迎応酬として子供の魔法の角笛のこれをきかせて、嵌らせてあげましょう。

ドイツ語とか学んでいたら確実に嵌ります。

 後にも先にもこれについてはクラ丸ごとが許される、安易な手法になる当て嵌めながら、見当違いではない伝説のBGMにて候。


ちなみにこのトピックの原型はこのあたりで対話して語られたことがベースになってもいますのでご一読を。
代々木よもやまさんの
マーラーの交響曲第6番
・マーラーの6番
とそれにトピックした
代々木よもやまさんマーラー六番再燃!!

ここにも言及ある アバド シカゴ交響楽団がちょうどアバド佳境の頃か?
Symphony 6
Mahler Abbado Cso / Polygram Records
ISBN : B000026EXZ

いまはDGはベルリンのほうをプッシュしているため入手困難が残念できうるなら羽ジャケで再発キボンヌ・ロリオ
by dr-enkaizan | 2006-06-10 17:13 | 解説のない音盤紹介
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