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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

drenkaizan.exblog.jp

オーマンディーのマーラー 交響曲10番再々発売

Symphony 10: Great Performances
Mahler Phl Ormandy / Sony
スコア選択: ★★★★★
去年の特集で言及した音盤はよいよ六月初旬に再々発売となる。
密林に吉報あり。
追記2006年10月に国内盤も
マーラー:交響曲第10番(クック版)(紙ジャケット仕様)

として発売される(限定盤)
オーマンディーのマーラー 交響曲10番再々発売_a0007939_1211655.jpg


当録音は、ゴルシュミッドの演奏と企画のBBCの放送断片であるクックの第1稿をテープによって聴いた、アルマ及び意思を次いだ娘アンナによって齎された、ぜ途絶部分を補完できる骨格資料に基いて。初めて全曲が露になったクック版の第二稿を録音しており、現行の版と細部が異なることと、その研究的な素材を、オーマンディーがフィラデルフィアのトップオケのヴィルトオーゾで明確に聞かせる次第であり、資料的要素と表現的感動が両立している点では後にも先にも、この水準に達すのは希少な事例となっているほどあたりに、意義を見出すことができる次第。

 因みに現行の版は第三稿であり、それが完成した当初の第一番目の版がモリスにより録音されて、後述のラトルやザンデルリンクは、それを元に独自の変更をしている。

そしてクックの死去の直前に第三原稿のさらなる補完がなされ、第二番目の版が作られ、共同補筆者にコリンマシューズ他らのイギリス補筆マニア(笑)の名前などが明らかになる。

 この音盤と今盟友間のブログのトピックにコメントにて盛んに取り交わされている 、マーラーの10番のクック補筆版を中心にした「10番」の諸相へ少し感慨を・・・・・・

 さて近年はラトルの再録音やザンデルリンクの名盤が廉価で発売されてしまっていらい、それのみで、あるいはシャイーそしてバルシャイの奇妙な補筆版の比較的入手し易い録音にて語られがちな、マーラー10番クック補筆完成版の様相にあるが如何なものかとも思う日々。

かつての、本来10番の道は、セルのグルシェネックの1&3楽章のステレオ録音からこのオーマンディーそしてモリスというは、必ず必携だった時代が存在していたとも愚考致す次第。

 この頃の録音のほうが?マークが明確であり、決して自然なの物かは補償しかねるが・・・・・あえて、その生々しさに、クック版に再現ドラマではない晩年のマーラー軌跡へのドキュメンタリーの視点を与え真の10番の姿を浮き彫りにしているような存在の違いをも感ずる次第にて候。

 因みにこの道の最に来るのはラトルとザンデルリンクであり、多少研究的立場より演奏的な観点にこの曲の価値が転移されてゆく、そして
 シャイーやレヴァインそれ以後色々といった成立者の立場を離れた音源や演奏活動が出現し出すのは周知の通り。

 ちなみにラトルはクックの補筆契機を「イギリスBBC」で与えたゴルシュミッドと接触があり、そのラトルと意見交換していて独自にも細部を変更しているザンデルリンクは、その変更の根拠には、このオーマンディーが録音している、クックの初期補筆版を参考にしている節が有る次第なことが当音盤と後述の金子氏書物にて解る。
マーラー:交響曲第10番より
セル(ジョージ) クリーヴランド管弦楽団 マーラー ウォルトン ストラヴィンスキー / ソニーミュージックエンタテインメント
ISBN : B00005HJU3

グルシェネックの1&3楽章を軽視する人々はこれを聞いてから再度ごご検討ください。

追記2006/10に国内盤でオリジナルのカップリングで発売される(限定)
オーマンディーのマーラー 交響曲10番再々発売_a0007939_1261364.jpg

マーラー:交響曲第6番&第10番(紙ジャケット仕様)


そして主なクック版の経緯は下記書物を踏まえた上で語られるのもセオリーでもあり
マーラーの交響曲―こだわり派のための名曲徹底分析
金子 建志 / 音楽之友社
スコア選択: ★★★★★



マーラーの交響曲〈2〉
金子 建志 / 音楽之友社
スコア選択: ★★★★

何故クック版の補筆の実態が的確に説明されており、その資料の状況も経緯をおって丁寧に解説されている次第でもありなん。

とくにこだわりの方のP216-P252の10番に関する金子氏の完璧な資料の提示とその差異の研究振りには、クック版それ以前の版の10番の音盤を聴くに当り・・・圧巻なる存在なのはいうまでもない。

 ちなみに此処の書物の資料にもこのオーマンディー盤のライナーが多く引用されており、アルマが最初BBCの仕事に激怒していたこと、放送関係者の持ち寄ったテープで和解して協力の立場になったことなどがレブライされている。

もし此処で紹介した経緯以上のクックの作業の実態と版の詳細を知りたき人々は是非ご一読ください。

 及びさらに推奨できるのは諸井誠氏の80年代の音楽現代の当全曲への記事なども推奨しうるが諸井氏のは入手が困難の可能性あり。

さて皆様深い10番道道へお進み下さりますよう祈っております。
ラトル指揮バーミンガム市交響楽団のマーラーの第10番(クック完成版)
鎌倉スイス日記様
作曲家の疑問がクック版の補筆の実態見事に抉り出しております。

マーラーの交響曲第10番ですよ。三途の川の向こう側
yurikamome様

こちらも大変10番が好きな御仁の随筆

シャイー、ベルリン放送交響楽団の率直な感想が興味深い(初TB宜しくお願いします)よしさんのトピック
マーラー 交響曲10番(8/3追記)
by dr-enkaizan | 2006-06-03 13:09 | クラシック
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