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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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ヴィラ=ロボス ブラジル風バッハ全曲 ケネス・ジャーマーホーン指揮他(1)

 ナクソスがついにヴィラ=ロボスのバッキアーナ・ブラジレイラスの全曲を今年初頭に発売してから数ヶ月たつ次第。

Villa-Lobos: Bachianas Brasileiras (Complete)
Cynthia Estill Anthony la Marchina Heitor Villa-Lobos Andrew Mogrelia Kenneth Schermerhorn Erik Grat / Naxos
ISBN : B000BK53DI
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 聴くにつれフィットするこの全集について少しずつレビューしようかと画策するもの也。
オーケストラはナッシュビル交響楽団をメインにソリストと声楽にピアノが加わる次第であり。
指揮はシャーマーホーンのほか第一番にモレグリアが担当する次第であり、実質的にはシャーマーホーンがメインのところが多い。

業務連絡:ストロング小林少年さまこれ見たときにコメントを(笑)。

まず全般的魅力は録音が魅力的なことであり、往年のデッカの80年代から90年代のサウンドを思わせるようなところが、それらしく捕らえられており、とかく録音には恵まれていないような当曲集へのフラストレーションが払拭されるのは言うまでも無い。

 おそらく演奏上では自作自演のEMIの全集鮮烈さではバティスの演奏に劣るとしても、その平明さ録音のバランスという平均点の高さにおいては、今後これを言及せざる得ない次第にて候。

(なお音盤は三枚でありその内訳は1枚目1-3二枚目4-6 三枚目7-9)

 この録音でまず嬉しく聞けたのは管弦楽の為の「第7番」であり、第五番の第一楽章の世界の延長なる、「情熱を秘めた抑制」こそが魅力の第一楽章「前奏曲」が、文字通りテクスチュアを壊すことなく克明に描かれる。
 二つの木管群を交代して描かれるメロディーそしてその背景で1-2ヴァイオリン間で交代して織り成されるピティカートにはじまり、(0-0:44)通常の弦楽のパティドラルなオスティナートに移行して、リード系木管による旋律と擬似的カノン的体位(0:44-1:23)そして総奏管弦楽のテクスチュアで激しく弦楽にメロディートオオスティナートが移り、音楽が熱り確保され、(1:23-2:59)、そしてメランコリックなる木管の二つの推移と僅かなエピソード挟んで現れ(3:03-3:59)
次にメロディアスなエピソードに導入され、幾分冒頭旋律反行などが当てはめられつつ冒頭が回帰する前奏曲の開かれている単純な構成に盛られた器楽の工夫をことさら素直に楽しめることをお約束する次第。
そして第二楽章「カイピラのカドリール」の少し緩いが、二小節の動機の五度のカノン風な模倣進行で始まる楽しげなラテンのスケルツァンドも、その根底にある三拍子と六拍子の交差するテクスチュアに、浮き沈みする情景のパノラマを疎かにしないのが好感が持てる次第である、中間部前の音程跳躍のホルンのフレーズが(2:19以後)印象的に注意深い表情で演奏されているのは稀であり、この指揮者の技量の高さと譜面の読みが深い可能性を感じる次第。

 そして圧巻は三楽章のトッカータの演奏であり、ブラジルのお国物意外に緩い演奏や録音面で難が有る自作自演、そして価格面での大手レーベルの物に、表現の起伏が凄くもつらいバティスに比べて、聴きやすくも、大人しいわけではない絶妙な演奏であり。近代管弦楽にハッハのポリフォニーの技法に、ラテンのリズムに彩られたメロディー(*)が乱舞する、この傑作心余すことなく堪能できる次第。もはや時間をつけるのも虚しいぐらい何処を切っても楽しい演奏にて候。

(*)スコアをみると、聴く限りは一見すると緩いリフレーンに見えるが実は対位法的にリズムの対比を計算して、ラテンの節をバッハの軌範オ上で再現しているかのような記譜がなされいるが次回あれば言及

そして三拍子の大団円のフーガは、いうまでも無く、全世界の音楽をも貫かんとするような、そんなバッハの書法の至福の何たるかを語るブラジルの作曲家の神妙にて熱い語り口に「只、只只管」に耳を傾けんことを希望セルものにて候。(もしかして続く)
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by dr-enkaizan | 2006-05-29 22:22 | 解説のない音盤紹介
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