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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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日本を題材にした表題音楽

かつてクラッシク招き猫の人脈が厚いころ、現代日本現代音楽のスレッドで異様に盛り上がることが日常茶飯事であった次第、その一つの日本を表題にした素敵な表題音楽という出題があり、多くはやはり日本的な表題曲としては伊福部氏や小山氏の古式豊かな伝統美のある曲を大半を占めており、なるほど日本というと、やはり土俗的民族音楽的要素のものが大半の認知が受けている次第であり、当方もその路線で当方渡辺浦人の交響組曲「野人」を紹介し、当時は意外ながら余り出回っていない空白期のころで、その詳細を望まれたりもした、よき思い出あり、当曲は人々が祭りへと準備して集う第一曲「集い」厳かな祈りのこもった儀式としての祭りの(作者は自らの母の子守り歌などがモチ-フといっている)第二曲「祭り」、そして人々の儀式のあとの解放による陽気な踊りを表現した終曲「踊り」最近の伊福部ブ-ムや前衛音楽等の影響で陰が薄いが?非常にオ-ソドックスな手法でなおかつ「わかりやすい主題」で「日本の風習」を表題にした音楽としては円海山@熊蔵的には本来第一に挙げるべき管弦楽曲とも所見するにて候。これはまた別の機会に紹介する次第、今回はその傍らこれらのアンテーゼで紹介した、その土俗とは対象に東京オリンピック前後で生まれた子供達をあらわした日本の表題音楽とした湯山昭氏の「子供のための交響組曲」についてとり挙げてみたい所存。
 TBSの依頼で同放送局で初演されたこの組曲は日本の山・海・都会といった
起伏に富んだ場所にすむ子供の明るい生活をあつめとそれら、新たなるメロディーと回想で包括する終曲からなる、四楽章を小編成(チェンバロ・サックス・ドラム他打楽器含む)オケで交響組曲に仕立てた痛快に面白い曲。

 最初の山の子供はいきなり弦楽のトレモロでホルンというブルッナー開始と思いきや。プロコフィエフのシンフォニエッタ風の、60年代テイストテレビドラマのような団欒的主題が?ヴィヴラフォンに弦楽やホルンや木管に現れ、やがてリズミックになり、まるで色んな山道から学校へ子供が登校してゆくような様々な歩みで主題が出現して、ときに景観を表現するような色彩や雄大な叙情など織り混ぜて、すすめらるる。もたつき気味のファゴットのクロストロークな伴奏に旋律を歌う木管の矢先に、軽妙なスキップするような音楽交差するあたりは、もう演劇的身振りであり、土俗というより現代の日本人の感覚根源のそれなのだが、この感覚は芥川氏の交響三章での旋律の転調の使い具合に通じるが、あの和音がドッペルトミナントやオーギュメンスを多用して、歌のセンテンスがおしゃれにくねらせる湯山氏の独特の節て昼の教養番組的な旋律は、懐かしくときに切なくもありて耳についたら離れない。

 海の子供では少しハープの「モロ海だよ」状態からフルートの神秘的瞑想が入り、これは武満の「海へ」の先駆例として今では評価さる物、そして弦楽でる明るい神秘的な旋律にやがて、冒険と危険をを案じさせる若干旋法がMTLになる節で曲は逼迫して、最後壮大に盛り上がり終わる文字通りドビュッシーより万人が認める懐かしい手触りの「海」の音楽。

そして都会の子供は最初に少々ロンド的交差を持つ形式オのスケルツオで最初にポルカ風のラクタイムのリズムながら、それに導入され強烈に「お子様」としか言いようのない軽い律動して、プロコフィエフ風の転調もする主題が木管とシロフォンで始まり、弦楽がお洒落な旋律で答え、サックス三音へミオラで少々スイングする律動あるジャス風なメロディを答えるといった、いかにも色んな店のある商店街を歩いているような賑やかさが続く。

 そして卒然ドラムセットのリズムに木琴のドデカフォニー風な旋律表れ、都会を支配する機械達描写になり、パシフィック231のようなカウントダウンの後、音楽は「やさぐれ状態」になりおそらく鋼管二つを叩くリズムも加わりサックスが少々コンビニッシュディミニュエンドスケールのジャス風の節を奏で、無責任シリーズやドリフに出で来そうなトロンボーン上下するグリッサンドに降下する弱音器つきトランペットで、小太鼓とオーボエの反復する半音階転調するのが一生懸命でユーモラスな、リフレーンからスケルツオに復帰、トリオに入りヴィヴラフォンとブラシ打ちのコンボでお昼休み風、さらにスケルツオが復帰し、今度はウットブロックのリズムにクラリネットによるトリオの主題の諧謔的変奏でユーモアを極める、でコーダ近くのストレッタな部分は途中ワルツになり、やはり都会の何でもありという状態を描写する、このワルツの玩具めいたことろは、すでにメディアでの情報化されたワルツという状態であり、さすがに放送局依属色物を意識していうかの如し興味深い表現。そのストレッタが加速して終了。

終曲はゆったりとした主要旋律が流れ、各楽章の旋律が回想して眠りにつくように大人しくなり、最後に主要旋律の盛り上がりで、現代のおとぎの国の高度成長期の日本を横臥するマメールロワという面持ち終わる。

思えば昔はこんなに日本は希望が・・・・・・。
いまは後者のほうはキングから湯山昭器楽の領分として収録され、室内楽とのカップリングで岩城指揮フィルハ-モニ交響楽団演奏がある次第。


日本を題材にした表題音楽 _a0007939_0413465.jpg

by dr-enkaizan | 2005-04-05 00:43
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