丹下氏の追悼を音楽の花束でとも思いつつ。
一曲 クセナキス:メタスタシスを。
当曲は東京での丹下氏の仕事と浅からん関係を持つことは必至。
氏の埋蔵がなされると話が持ち上がる、「大聖堂」
屋根と壁面がシームレスで空間が立ち消える壁面のコンクリートHP曲面を、建築で最初に実現した人物 こそ ル・コルビジェ の元で働いていた頃のヤニグ・クセナキスその人でもありなん。
その建物とは1958ブルッセルの万博の催事用に用意されたフィリップス館
なお当時『ポエム・エレクトロニック』というコンセプトのもとに相応しい空間作りにクセナキスの協力を要請したのは文化・背景な卓越した感受性をもと合わせていた、プロジェクトの主幹名義を司るル・コルビジェに他ならない。
このときクセナキスは中の音楽を電子音で埋めるべく先駆者エドガー・ヴァーレースに依頼して自らも前奏曲「コンクレートPH」を作成する。
コンピレーションCD"an anthology of noise & electronics music-first a-chronology 1921-2001"に両曲
ロバート・クラフトのヴァーレーズ曲集にヴァーレーズの「エレクトリック・ポエム」
シャイーのヴァーレーズ全集にもヴァーレーズの「エレクトリック・ポエム」
収録
それゆえ建築業界ではコルビジェ名義の著書の多数ある次第。
しかしながらル・コルビュジエが描いた、ごく簡単なスケッチを元に
(*)聴衆とコンテンツ内包し入り口と出口のある胃袋
クセナキスが構想を練る、
まず用途目的に相応しい天上と壁面の区分の曖昧な壁面構成を定める。
それにより映像と音響が効果的にさらに非日常性を盛り上げられる果てしなく終わる面画期待され
その面を受ける軸組み
その複雑な軸組みの推移を
という線的構造力線を画策
施工的線形性解析もフォローしてネゴ
双曲放物面とコノイドでつなぐと言うクセナキスによる構造的考察により実現
建物の内部壁面には四百個のスピーカー群を設置
以上『音楽と建築』高橋悠治訳より
そして音響と映像と色彩とがこの空間のなかで渦をまきながら観衆たちを包みこんでしまった
その極めてユニークな幾何学的建造物での曲面の構成の根源の双曲放物面とコノイド(=円錐)を成しうる、複数の力線のグリースの連なりは、先立つこと1953年初演のクセナキスの音楽処女作「メタスタシス」での弦楽でのパートの動きとして先駆的着想があった。
メシアンの助言を得ながら作曲を始めるもその12音セリー音楽における限界を感じ、新たな数値的統制を画策する際に幾つかの異なる傾斜する線形の連なりを配することで、と統制された表面積や体積の造形が生じる、図形的概念を想起
それを、システマティクにオーケストラの弦の集団での個別的運動をするグリッサンドの使用に置き換えた「絶えず生気する音空間」を生み出すことに成功する。さらにこの曲のギミックにはコルビジェともう一つの仕事ラ・トゥーレッド修道院のモヂュロールが反映しており、その中間部での細切れの瞬間が配置される部分での音程・音価。ダイナミックスが黄金分割を用いて組み合わせれているが。これはコルビジェの著書「モデュロール」2で一章裂かれて解説している。
なおコルビジェとは経緯ありクセナキスは少々仲たがいをしており詳細は六国峠の盟友の
コメディア
に詳しい記述があるゆえご拝読。
ちなみに当方此処での家主とのメイル対談で登場している、だかなぜか当曲をテレクトレールと勘違いして書いている恥ずかしい・・・・・・(-_-)””””””
クセナキスはフィリップス館での曲面の効用を
フィリップス館の内部にいる時、ひとはその幾何学を意識することなく、その曲率に影響される。
との述べる。
そして丹下氏これを体育館(代々木)さらに教会の採光や音響での起用に至る・・・・これは最高の派生的応用の素晴らしさと我所存するもの也。
最後はクセナキスの音楽と建築の最後の言葉で
「容積の習性の抽象法則の厳密さは「直接」感じ取ることができる。論理の「フィルター」は快感の補助にすぎない。」