人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

drenkaizan.exblog.jp

没後20周年オーマンディー記念-外伝「考えるな、感じるんだ!!」(3)プロコフィエフ(1)

さて継続企画物の再開を命日近くから始めるもの也

オーマンディーのさらに適正あるう音楽として。ロシア・ソビエト音楽にある点は、やはりその管弦楽の機能と比較的単純なわかり易い書法、また多数の見せ場を持つ故にあるのかといえば、それ一辺倒では言い切れないスクリュアビンの「法悦の詩」「プロメテウス」などもなり、その要因の掌握は困難極める次第。

 おそらくむしろエキセントリックな面をわかり易くする職人冥利ある音楽がオーマンディーとの適正をもつのかとも所見さるるもやも・・・。

 それらの適正ではプロコフィエフのいくつかの楽曲はオーマンディも何度か録音をして、少々深入りしている者たち世評も高きものの一つとして言及せずにはいられないものにてござ候。

 とりわけ「クラッシク招き猫」でもかのプロコ春祭達人のつーち氏とのやりとりでも、しつこく推薦したカンターター「アレクサンドル・ネフスキー」はオーマンディー・フィラデルフィアのRCA時代の美点120%の名演奏として屈指のものであることは言うまでもなき次第は、まずは聞いていただければご理解いただけるものど硬く信じているものにて候。

没後20周年オーマンディー記念-外伝「考えるな、感じるんだ!!」(3)プロコフィエフ(1)_a0007939_224142.jpg



再発売をして購入の「つーち氏」が
>面白すぎです。
言わしめてしまうほど、
氏の所見を拝借すれば、録音は少々歪ながらマルチマイクでプロコフィエフの独自の管弦楽の効果あるところをピックアップ。ともかくゲルギエフの録音を聞いては「ハァ」となるぐらいの迫力と畏怖に満ちた録音に仕上がっており、音楽は熱血に進められることは必至な演奏が展開する。

 プロコフィエフが自らのエーゼンシュタインへの映画サウンドトラックを国威高揚のカンターター仕立て上げた当曲、その音楽のわかり易さと利き所からアメリカでも早時期に取り上げられ、ストコフスキーのNBCでの紹介につづく二度目の紹介はオーマンディーによりなされたもの。

それゆえにこだわりは確かな演奏の成果となって現れている次第で、当音盤に独自の感慨あること必至。

 内容を追うと・・・前奏曲の「蒙古の圧制にあえぐロシア」の冒頭の弦楽と金管の大見得は凄まじく、全音域に力みが伝わり、ビジュアルな強烈すらあり、その中から蒙古の恐怖を印象付ける主題がコラージュされる背景のトレモロすら確かな質感に溢れしもの。


 そして合唱による敵味方もしくは平和・戦争のキャラクターが分かれる二曲「アレクサンドルネフスキーについての歌」に「ブスコフの十字軍」は明確に表出され、十字軍のほうは金管の和音と打楽器のショックインパクトな冒頭から、蒙古や戦争恐怖を意図した主題が男性コーラスにより歌われ、郷愁と独特の迫力ある音楽が展開されるが、オーマンディーの弦楽の美しさはロシア叙情においても見事に身のあるものになっており、一度オーマンディーをイージに考えている方々はこれを聞いてから、「イージー」かとうかネットで発言しても遅くは無いような気もする次第。
 ラストの低音を残した余韻あるコーラスの処理には、プロコ通の「つーち」氏も凍りつく恐ろしさであり、非常に印象深い瞬間。

 そのあとの「立ち上がれロシア人民よ!!」の飽和したような鐘・金属打楽器に金管の咆哮そしてシロフォン刻みがある、イントロはオーマンディならでは華々しさと迫力であり それはゲルギエフよりも圧倒的で、しかも派手さと迫力があり、ゲルギエフに期待して大いに裏切られた恨みあり(笑)という次第。

 間奏で弦楽のささくれない表情の豊さは、それらに出現するプロコフィエフの不可思議な民謡を変調したメロディそして、伴奏に出る特異な伴奏や音階のアラベスクなどを堪能するには相応しい掛け替えのない能力が我々を魅了する。

本曲最大の見せ場「氷上の戦い」はテンポも適切、打楽器の技術も確かであり、合唱と器楽か一体に咆哮することも外すことなく説明は不要の面白さ、二度にわたる管弦楽の不協和な咆哮にシュプレヒする合唱の部分は背筋に寒気が揚がる程の素晴らしさ。

そしてカタストロフィーなクライマックスのホルンの伴奏に弦楽が絡む部分から、ロシアの主題による静寂にやさしい音楽になる部分の弦楽はまたしもオーマンディーサウンドの弦楽!!

そして発音が多少歪なメゾ・ソプラノがかえって効果的な「死の原野」をへて、またしても鳴り物大活躍の冒頭の「アレキサンドル・ネフスキーのプスコフ入城」にいたるあたりは、この管弦楽団の技術は、芸術論に誤魔化されない価値あるものであることをことさら認識させらるるものと所見さるる次第にて候。

さて次は交響曲五番へ筆を進めるもの也・・・・暫し待たれよ。
by dr-enkaizan | 2005-03-12 22:44 | 解説のない音盤紹介
<< テンシュテットのマーラーから 夜のガスパール管弦楽版(2)「... >>