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六国峠@ドクター円海山の音楽診療室-無用な営みの、えも言われぬ、この上なき喜び

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伊福部 昭-タプカーラとリトミカの元になった「協奏風交響曲」

 さてさらに伊福部祭りの様相は他に波及せる物にて、さらに「てつわんこ」「代々木」様のヤブロンスキーナクソス盤リリースによせてひとつ言及したいことがあり。

今回のラインナップは
日本作曲家選輯:伊福部昭
伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ
ヤブロンスキー(ドミトリ) / アイビィー
ISBN : B00069BP9A

ドミトリ・ヤブロンスキー(指揮)ロシア・フィルハーモニー管弦楽団

シンフォニア・タプカーラ(1954、1979改訂)/ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ/SF交響ファンタジー第1番




 だがSF交響ファンタジーを含めて興味深い関連のある音盤として、キングがファイヤーバードレーベルよりリリースしている「伊福部昭の芸術5」を、もし深入りしたい人がいたら強く推薦せる物也。
楽 協奏風交響曲&協奏風狂詩曲~伊福部昭の芸術5
日本フィルハーモニー交響楽団 舘野泉 伊福部昭 大友直人 徳永二男 広上淳一 / キングレコード
ISBN : B00005F6IO


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曲目はピアノと管弦楽のための協奏風交響曲とヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲(旧題 協奏曲第一番)であり、ともに先の音盤に由来しているものが多数存在する。

 最初の協奏風交響曲(1941)は戦時中に作曲初演され、長らくその譜面は、戦災にて消失されたとされ、また作曲家自身も世評も芳しくなかった「やりぎなモダニズム」不満に思うところがあり、改定も構成はなされずに、その反省と兄の追悼の「交響譚詩」(1943)への簡素で合理的な傑作への筆を向かわせている。(作曲家自身もスコアが焼失してホットしているような発言もある)その作品の出来具合は両者の編成と構成を拝聴願えれば一目瞭然にてござ候。

当時のコンセプトはライナーにある伊福部氏自身の弁を借りれば以下のとおりで

「血液の審美と現代のダイナミズムの結合がこの作品の主体である。」

とはじめ・・ここでの血とは「汎アジア的」な書法に、近代管弦楽のダイナミズムを融合して作品を作り出さんとする意思を宣言せるもの。

 実に三楽章のこの曲は、端々に都節な陰旋法に田舎節の陽旋法、に由来している五音音階や六音音階の音組織からなるエリクチュールを変拍子やポリリズムなどの新興的なを取り混ぜ、それらをピアノのクラスター奏法や。異質な響きで存在を誇示する前衛的で大胆なな管弦楽法にて彩を添えている野心に満ちていることは確か。

 当時の高揚する世相に絆された作曲家が前の代表的作品の「日本狂詩曲」や「土俗的三連画」にて未開拓の書法的追求を目論んだ思いがひしひしと伝わるものでもあるが、その素材の吟味は余丁なるものおおく、散漫な印象も免れないところもあり、世評が答えない理由もその辺に感ずるもの也や。事実伊福部氏自身のこの曲の主に第一楽章の素材から、第一主題にて、その主題展開の書法の再構成(その調性的な秩序立てには極めて近いと感じたのがヤニグ・クセナキスの論文というインタービューでの発言もある)を踏まえて管弦楽とピアノための「リトミカ・オスティナータ」(1961)が生まれ、そしてそれに先んじること1954年のシフォニア・タプカーラの第一楽章のアレグロ部の7拍子の主題は第二主題から採られている。

 実際これらの曲の動機がこの協奏風交響曲から現れる時は、二曲を聞いている者には、衝撃と興奮を持って迎え入れられるものといっても過言はなく。

 管弦楽の響きは日本狂詩曲での管弦楽が「打楽器と対峙」(*)する感のある「大編成」より。一層の熟練を感じる、「融合的」なものとなっており、その後の交響譚詩への萌芽もあるもの似て候

(*)「だがっき」と「おと」の庵から『伊福部昭・音楽家の誕生』

ともかく、深入りをしたい方はナクソスで気になったら、交響譚詩とこれを推奨セルこと必至。

 なお協奏風狂詩曲は第一楽章に「ゴジラ」と「怪獣総進撃」の一節がある流れで一緒なことを気づかせるものにて候、じつは後者は「万博のパビリオンの催し物の音楽」にも流用されておりユーメックスより「わんぱく王子・・」CD音盤の余白の収録され一度発売されている。



なおともにオケは日本フィルハーモニー
協奏風は指揮に大友直人氏ピアノは館野泉氏
狂詩曲は指揮は広上淳一郎氏ヴァイオリンは徳永二男氏
(KICC179)


なお円海山的にはリトミカは 若杉弘氏指揮の読売交響楽団/ピアノ 小林 仁氏の硬質でやや聞きづらいが、なにやら構造的な道理を感ずる演奏が、近年癖になっている次第を付言せり。

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ビクターVCD-5505(廃盤)「おい犬!!早く復刻しやがれですゥ」a0007939_492464.gif



追記作曲者の伊福部昭氏が2006年2月9日お亡くなりになられました謹んでお悔やみ申し上げます。
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by dr-enkaizan | 2004-11-22 03:31 | 現代音楽
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